船が着いたよ

絵のエピソード
水彩 240×190mm  F2

今日は父の91歳の誕生日です。

父は7人兄弟姉妹の三男として生まれ、実家は農家でしたが、

貧しかったそうです。

家計を助けるために、父は通信士として船に乗る仕事を選びました。

 

私が子どもの頃、父は半年〜1年単位で家を空けることが多く、

家にいる時間はとても少なかったです。

帰ってくると、「知ってるけど、どこか知らない人」のような

距離を感じていました。

当時は、外国に行くこと自体が珍しかったので、父のお土産を楽しみでした。

でも正直、父のセンスにはちょっとがっかり——

外国の人形の顔は子どもには怖くて、リカちゃんのが可愛いし、

お菓子も、近所のお店の方で買う方が美味しいなあ〜と内心思ってました。

父はあまり会わない上に、厳しい人だったので、

子どもの頃は緊張していたような気がします。

 

父が定年退職したあと、現・元社員と家族向けに、

豪華客船に社員割引で乗れる企画があったのですが、

父をはじめ、昔船に乗っていたお父さんたちは誰も参加しませんでした。

「何を好き好んで、また船に乗らなあかんねん。」

そう言っていたのを覚えています。

戦後の昭和という時代、「好きな仕事」を選べた人は

ごくわずかだったんでしょうね。

 

この絵は、母の手作りのワンピースを着て、歩数を数えている私の姿です。

途中で何歩目かわからなくなって、数えるのを諦めちゃいましたけどね。